創業以来、樹齢150年以上を生きたシナノキのいのちを繋いでいくことに対して、使命感と責任を持って取り組んでいます。
樹の鞄に利用されるシナノキは、北海道で伐採されたものです。商用として伐採されたものだけではなく、国有林などで道路や施設の建設に伴うやむを得ない理由で伐採されたものも含まれています。シナノキが生きていた当時の原木の姿を心に刻み、いのちを感じる心を失わないように心がけています。あわせて、森を守る活動をする団体に、植樹のためのを寄付を定期的に行っています。
原木、つまり丸太の状態で買い付けを行い、自ら製材にも立ち会って鞄の素材として用いています。製材後の加工に際しても、人工的な乾燥や消毒などは行わず、時間を掛けて適応する材に育てることを意識しています。
また、製材および木取りのプロセスにおいては、規格を決めていません。つまり、徹底的に無駄を出さず隅々まで使い切る「その木に合わせたデザイン」を1点1点生み出すことを心がけています。
制作過程で発生した削り屑は、製品の発送時には一部同梱させていただいております。お客様にその形や香り、温もりを楽しんでいただき、生きていた当時の姿を思い起こしていただきたいと思っています。
また、木取りの時にはどうしても鞄として加工できない小さな端材が出てしまします。この端材を用いた小物は「樹の鞄のカケラ」として積極的に製品化し、木の命を大切に使い切ることに取り組んでいます。
長く生きてきた木の命が形を変えて受け継がれていくことを願い、お客様のお手元で長くご愛用いただくための創意工夫を怠らないようにしています。
また、お客様からのリメイクや修理の依頼に細やかなご対応ができるよう、創業以来のすべての樹の鞄にはシリアルナンバーが刻印されています。シリアルナンバーごとに材の種類、サイズや仕上げの情報を保管しています。ご愛用いただく方が、「自分だけの鞄」と強く意識できる、美しく心躍るものを創ることによって、飽きて手放すことなく次世代まで受け継がれていくものづくりを目指しています。
樹の鞄では、「サステナブル」「エシカル」「SDGs」といった概念がまだ一般的ではない時代から、環境に配慮したものづくりを続けてきました。それは自然に生きる生き物として、自分たちのできる範囲から外れない「心地よい感覚」を大切にしてきたシンプルな考え方です。この考え方によって、ひとつの作品を挟んでお客様と長い時を共有し、心が通い合う関係を築くことができたと考えています。
つくる人、選ぶ人、共に「幸せなものづくり」が出来ることを誇りに思います。
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